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油絵具は、いつしか手にしなくなった。


たぶん、

電車とか、消防車とか、バスとか、

そういうものを一生懸命に描いていたように思う。



恐竜とか、サメとかクジラとか、

カブトムシやクワガタや、

自分の興味の対象は、何もかもを紙の上に、

一生懸命に描いていたように思う。


たぶん、

小学生になるかならないかの頃の話だ。

あんまり普段から絵を描きまくるもんだから、

兄貴の通い始めた絵画教室に通わせてもらえなかった記憶がある。

「いつも描いてるんだから」って、

そりゃあ確かに正論だった。






学校行事のしおりとか、

クラスのイベントのTシャツとか、

いつも僕が描いていたなぁ。

Tシャツのデザインに至っては、

ハーレー屋でも3回くらい経験したから、

かれこれ20年くらいのキャリアになるのかな。


純粋美術よりも、

デザインワークに興味をもったのは

そんな経験が起因していたのかもしれない。


漫画家のようなクッキリした線と点、

ぼかしたり淡いタッチで仕上げることなく、

鉛筆だろうがサインペンだろうが、

強く縁取られた輪郭と、

ある意味ディフォルメされた形象を好んだ。



反面、絵が上手いと言われるのは大嫌いで、

才能だとか、そういうくくられ方に妙に抵抗していた。




美大に行くことにしたのは、何故なんだろうか。

正直、はっきり思い出せない。

浪人生として、

予備校で毎日、朝から晩まで絵を描いた。

無論芸術と呼べる類のものではおよそ無いが、

半ば強制的にキャンバスと向き合わなければならなかったあの日々は、

二度と経験することの無い激しい毎日であったし、

あれほどのスピードで絵を量産し続けることなど、

今の僕には出来ないかもしれない。

出来る必要も無いが。






大学に入って、芸術をかじり始めた。

絵とは、芸術とは、作家とは。

色んな絵を描く色んな人間と関わりながら、

僕は僕なりに答えを探した。





油絵具は、いつしか手にしなくなった。

速乾剤を混ぜなければ、

半年も一年も乾かない色がある。

乾いては重ね、

重ねてはナイフで削る。

その物質感は、まさにヨーロッパで生まれたもの。

歴史と伝統を背負った重たい絵の具は、

僕の肌にも心にも合わなかった。




水墨は、失敗を許されない。

重ねることも出来ず、

筆を迷う余裕もない。

紙に触れたら最後、

強く、優しく筆を走らせ続けることしか叶わないし、

それは呼吸であり、精神であり、

よもやそこに画道と書道の区別などあるまい。





何を描いてもよい学生時代、

何を描くことも出来ない僕がいた。

アメリカの何がアメリカで、

日本の何が日本であり和であるのか、

その境はいったい何処にあり、

僕らは何処へ向かい、

そしてその向かう先に何があるのか、

進路は正しいのか、

漠然とそんなことを思うようになったのは、

きっとコカ・コーラの瓶の蓋を描写した時だったと思う。





テーマを追うことは、

自分を深めることになる。

自分を深めるための手段として、

今の僕には絵がある。



でも絵を描いた先に、一体何があるんだろう。

ここまで来たか、と自分で思う日だろうか。

まだまだだ、とさらなる先を思う日だろうか。

ある日描けなくなっているだろうか。



絵の中で、

星条旗が翻り、鯉が泳ぎだし、

誰もが息を飲むような強力なメッセージと、

それを伝えるのに最良の手段を手に入れたとして、

それでその時僕は何を思っているだろうか。





全体から、

音を立てて締め付けるような頭痛。

絵のことを考えまくると、

決まって目を覚ますこの偏頭痛とも、

もう十年の付き合いになるのか。


眠れなくなってしまった。





















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無題
深過ぎて…コメント出来ません…
御免なさい。
よっし~ 2008/05/26(Mon)12:48:50 編集
無題
>よっし~さん
深いんで無くて、ヒトリゴトのようで変なんですね、なんか、笑!
こちらこそ変なこと書いてしまってごめんなさい!!
americoma 2008/05/26(Mon)22:55:20 編集
無題
偏頭痛大丈夫ですか?
あまり無理なさらず
時間のできたときに好きな絵を描いてくれたと思います。
ホイミ 2008/05/27(Tue)00:12:11 編集
無題
>ホイミさん
お久しぶりです☆
時間ができた時を待っているといつになるかわからんのです・・・笑
americoma 2008/05/27(Tue)22:27:52 編集
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その矛盾する感覚に
自分自身興味津々。


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崇拝しております。

休日は近所のタリーズで
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人間観察したり、
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