フライング

仕事を持たない1ヵ月とはいえ、

何もせず過ごすのでは勿体ない。




今度の新しい会社に入社すると、最初の1ヶ月間は缶詰で猛勉強するらしい。

生命保険そのものや業界に関する知識を高め、

営業力を身につけるロープレを繰り返し、

さらに資格を獲得しなければならない。

この資格というのは生命保険の募集人資格であり、国の資格だ。

つまりこれがなければ生命保険を売ってはならないというわけだ。


以前ハーレー・ダビッドソンの営業時代に、損害保険の募集人資格を得た。

あれがないと自動車保険を扱えないのと同じか。






生命保険の営業をやる。

そう聞くと、身構える人が多いらしい。

入らされたら困る、営業をかけられたら面倒だ、そう思うんだろう。


それはわかる。よくわかる。


ただ、フライング気味に本を読んで勉強していく中、

自分自身あまりにも生命保険に対して無知だったということを思い知らされるし、

自分の知ったことは人にも伝えたい、

そういう風にも思う。



今、日本人の90％以上の人が生命保険に入っているそうだ。

生涯かけて1000万円以上支払うこともある、

高額で、しかも目に見えない買い物だ。

なのにその中身、つまり保障内容を理解している人はごく僅かだそうだ。


世の中、不条理がまかり通っていることがある。

保険業界はそういう世界だと、無知ながら感じる。

少なくとも僕の行く外資の生命保険会社は、

その業界に一石を投じるために日本で活動し、地道に売り上げを伸ばしている。





僕から誰かが保険に入ると、僕の成績になる。

大変ありがたいことに、入社したら営業してね、と言ってくれる人もいる。

ただそれ以前に、その人のために生命保険は必要で、

数ある保険の中でもベストなものを提案できる可能性を僕が持っている、

つまり、

僕こそがその人の幸せを最大限に出来るかもしれない、

そう思うと、これは自分にとって最適な仕事だと思えるのだ。





仕事を持たない1ヵ月とはいえ、

何もせず過ごすのでは勿体ない。




いや、本音を言うと、何もしていないと不安になるのだ。

3月からやっていけるかという不安。

僕が辞めても、引き続き忙しくしている同僚の近況を聞いて感じる不安。


そういう不安を消し去るために、

本を読み、模擬テストを受け、準備を進める。

会社公認の、

大切なフライング期間なのだ。