日曜午後3時

なんでもできる、それだけの時間があるということが、

何かしなければというような脅迫観念を駆り立てる。

落ち着いて、1つ1つ着実に。

そう頭ではわかっているものの、

なんとなく浮き足立ってしまうのは、休みにまだ慣れていないからだろうか。

慌てても何も始まらないのだが。





一昨日の日曜日、タリーズへ向かった。



歩いた方が近いんじゃないかというくらい近所のタリーズへ、

相変わらず「じゃじゃ馬」なビューエルを、3分間暖気して向かう。




この暖気、相当近所迷惑なことは間違いない。

地面を揺るがすような不規則な重低音は、

異様な存在感を周囲にばら撒いてしまう。


いずれ誰かに怒られるんではないだろうか、と心配してはいるが、

大事に磨いている姿や、調子が悪くて困っている姿もよく見られていて、

今の所バイクそのものも迷惑の対象にはなっていない。

と、思う。笑






不安定なアイドリングも、毎日エンジンをかけてやれば安定してくる。

相変わらず燃費は悪いし、レーキングも貧弱ではあるが、

生き物みたいなこの挙動を、たまらなく愛おしく思う。









日曜午後3時。

この時ほど行きつけのタリーズ混雑している時は無い。

場所柄、買い物途の夫婦や子供連れが多く、

周辺のおばちゃんのたまり場にもなってしまう。

だから休日にタリーズに行くのは、

もっとのんびりと過ごすことができる午前中か、夕方以降の遅い時間と決めている。


だがこの季節、流石にテラス席は空いていることが多い。


いつもは避けている日曜午後3時。

迷うことなくテラス席にヘルメットを置いて、

いつものトール・ラテを手に外へ「戻る」。

実は、今日は明るい時間帯に来る必要があったのだ。










去年、11月の終わりに、祖父が亡くなった。

その時のことについては当時のブログ（No.270 / 関越0120）に詳しく書いたが、

祖父に対して、実現できなくなってしまったお願いが3つあった。




１つ目は、絵のモデルになってもらうこと。簡単なドローイングがしたかった。

2つ目は、碁の対戦をしてもらうこと。相変わらず碁はできないが。

3つ目は、戦争の話を聞かせてもらうこと。彼の言葉で。




2つ目と3つ目は、もうどうしようもない。諦めるしかない。

でも1つ目はどうにかなる、今からでも間に合うだろう。



祖父が亡くなった時にそう思った僕は、

彼が自宅で棺に入る前に写真を撮らせてもらった。


亡くなった人にカメラを向けるという行為が実に非常識な気がしたが、

親戚も皆賛同してくれたし、

祖父も拒まなかった気がしている。







そんな写真を見ながら、テラス席で祖父を描いてみた。

あっという間に冷たくなる指先をカップで暖めながら、

1時間くらいか、鉛筆を走らせた。













描いている間、色々なことを思い出した。

美大に進学することを、誰よりも応援してくれていたこと。

小学校の騎馬戦で大将だった僕を、たくさんの人に自慢していたこと。



きっと、この転職も誇りに思ってくれるに違いない。

いつ、どこで見られているかわからない。

情けない姿をさらさないように頑張ろう。