×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ところで、ぼくら人間の郷愁ははたして何であろうか?」
普通に仕事をし、子を産み、育てる。
僕らにとって、それはしごく当前の時間の流れで、
そんな時間の対流に疑念を持つことは中々ない。
小さな携帯電話ひとつで世界の情報が手に入り、
世界中の様子を互いに共有することができるし、
だからこの世界のことは全て知っているも同然のような錯覚に陥る。
けれどもたった100年前のこの星は、
きっとたくさんの謎に満ちた世界であり、
そこにはたくさんの冒険と人々の夢があり、
そしてそこで輝く生は今よりもずっと死に近い。
だから生は重要な意味を持ち、今よりもずっと輝いていたに違いない。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュぺリ 『人間の土地』。
『星の王子様』の原作者の実体験に基づくこの随筆は、
飛行機で世界の隅々までを掌握せんとする20世紀初頭の人間臭さを随所に感じることができる。
この物語のわずか50年前、
日本では260年の江戸幕府に終止符が打たれ、新しい政治が始まろうとしていた。
この物語のわずか50年後、
人々はジェット機で世界中を飛び、もはや月に辿り着くのも時間の問題だった。
そんな時代にあって、郵便飛行のパイロットであった彼は、
多くの仲間と共に、生と死との狭間を懸命に生きる。
「ある一つの職業の偉大さは、もしかすると、まず第一に、それが人と人を親和させる点にあるかもしれない。
真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係の贅沢だ。」
僕の言葉ではありがちになってしまうが、
思うに、きっと、大切なものというのは満たされていない時にこそ、
その大切さを実感できるのだろう。
情報にも食にも満たされた、溺れるほどに満たされた僕のこの世界では、
人間と人間の絆はむしろ希薄になってしまうのではないかと、
不安にさえ思う。
「あのともしびの一つ一つは、見わたすかぎり一面の闇の大海原の中にも、
なお人間の心という奇蹟が存在することを示していた。
あの一軒では、読書したり、思索したり、打明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたり、
アンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。
また、かしこの家で、人は愛しているかもしれなかった。
それぞれの糧を求めて、それらのともしびは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っていた。
中には、詩人の、教師の、大工さんのともしびと思しい、いともつつましやかなのも認められた。
しかしまた他方、これらの生きた星々のあいだにまじって、閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんとおびただしく存在することだろう・・・・・・。
努めなければならないのは、自分を完成することだ。
試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じ合うことだ」
アメリカに亡命後の1944年、
偵察機に乗り、地中海から戻ることのなかったサン=テグジュペリは、
アメリカのみならず、敵国ドイツも捜索隊を送り込むほど愛された人だったらしい。
地球上は、もはやこの本に書かれているような冒険の星ではない。
僕らの知らぬ所など、もはや殆ど残されていない。
それでもこの本が面白いのは、
彼らの輝きが、強く僕らの背中を押してくれるからだ。
普段あまり本を読む人間ではないが、この本はおすすめだ。
得るものは多い。
Amazon.co.jpはコチラ
PR
c a l e n d a r
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
n e w
c o m m e n t s
[03/16 americoma]
[03/15 よっし~]
[03/15 americoma]
[03/04 よっし~]
[03/03 americoma]
c a t e g o r y
p r o f i l e
HN:
americoma
性別:
男性
自己紹介:
人 魂 で
行 く 気 散 じ や
夏 野 原
アメリカと日本、
そしてそれぞれの文化を
こよなく愛し、
その矛盾する感覚に
自分自身興味津々。
1996 BUELL S1
僕の頼もしい愛車。
葛飾北斎と
MOTLEY CRUEを
崇拝しております。
休日は近所のタリーズで
絵を描いたり、
雑誌読んだり、
人間観察したり、
考え事したり、
何もしなかったり。
行 く 気 散 じ や
夏 野 原
アメリカと日本、
そしてそれぞれの文化を
こよなく愛し、
その矛盾する感覚に
自分自身興味津々。
1996 BUELL S1
僕の頼もしい愛車。
葛飾北斎と
MOTLEY CRUEを
崇拝しております。
休日は近所のタリーズで
絵を描いたり、
雑誌読んだり、
人間観察したり、
考え事したり、
何もしなかったり。
s e a r c h
c o u n t e r