不完全燃焼の憂鬱

仕事がヤバい。

予期せぬ月半ばのイレギュラースケジュールによって、

勤務時間を大幅に消費してしまった。




法定労働時間内で終わるなんて事はそもそも考慮外だが、

法定時間を一定以上超過してはならない。

怒られるのは僕ではなく、

先輩や上司。

もちろんそれだけにとどまらず、

一定の枠内で仕事をこなせない人間という評価もできてしまう。



月末までの残り僅かな数日間を毎日18時に帰れば、

「一定の時間」を下回ることが可能だ。

あいにくどの日も打ち合わせや会議が入っているので有休は使えない。






そして困るのは、仕事が減るわけではないということ。

やらねばならない幾多の仕事を、

小さいものから順番に見捨てていくしか方法はないのだ。





賃金というのは仕事をする大きな目的ではあるが、

仕事中にそれを目的にする訳ではない。


サッカー選手が目の前のボールを追いかけるように、

僕は僕のやるべき仕事をこなしたいのだ。

徹底的に、周囲の期待以上に、

そして自分が納得できるように、

目の前の仕事をさばきたいだけなのだ。





やり切れずに会社を後にするこの感覚。

まだ明るい山手線の車内。

いつも仕事をキッチリ5時で終える人の群れ。


世の中にはこんなに人がいるのかと思うほど、

いつもの帰り道とは全く異なるあちこちの風景。








家に帰っても、シャワーを浴びても、

再びビューエルで街中を走らせても、

もちろんタリーズのテラスにいようとも、

考えるのは仕事のことだ。

それは当然だ。






この1ヶ月の時間の使い方、

ここが良かった、ここはまずかった、

これは仕方なかった、

ボクサーが自分の試合を録画して振り返るように、

僕はこの1ヶ月を手帳で振り返る。








やりたいのにやり切れなった今月。

不完全燃焼の憂鬱。

それはこの先の完全燃焼のため。