DAY 8

この会社と、あと8日でお別れだ。

最後の最後まで猛烈に忙しくて、

のんびり振り返る間もなかった。


気がつけばあと8日。

きっと驚くほどあっという間のはずだ。





2年と2ヶ月。

思い返せば、入社直後から全速力で駆け抜けきた気がする。

こないだ同僚と飲んだときもそんな話になったが、

基本的にうまく力を抜くことができない性分。

やることも、やらされることも、全てMAXでこなそうとしてしまうし、

いつもいつも、その時の「本気」でやり切ってきたつもりだ。





転職活動をしていたわけではないが、

「引っこ抜かれた」という特別なことでもない。

ただ、

めぐり合わせで人と出会い、

転職のきっかけをもらい、

色々考えさせられた、

うまく説明できないが、きっとそういう感じだったと思う。




会社のため、組織のため。

自分に何ができるか、自分に何が求められているのか。

そんな考え方、いかにもサラリーマンなのかもしれないが、

そこで人一倍力を発揮できるのなら、

僕はそれで良かったし、

それだけだって結構大変なことで、魅力あることだと今も思う。









高校生になる頃までは、わりとエリートコースだった。

あの頃の友達は今、

商社や省庁に勤めたり、医者や弁護士として活躍している。

そんな猛勉強についていくことも大変で、

そんな気も失せた僕は、

大好きだった絵を描きたくて美大へ行った。

あの頃の友達は今、

やっぱりアルバイトをしながら、絵を描いたりギターを弾いたりしている。







僕の居場所はどっちなんだろうか。


大学を卒業してからというもの、

ハーレー・ダビッドソンを売りながら、

業務の設計をしながら、

ずっと悩み続けてきた気がする。




燃費のいい5ナンバーのお利口な国産車より、

ガソリンをがぶ飲みするし故障もするコルベットの方が絶対にいい。

毎日の生活費を気にするような生活より、

好きな物を買い、好きな物を食べるような生活の方が幸せだ。

いい暮らしがしたいと思う自分。


いやいや、大切なのは自我の成長であって、

そういうものは物に恵まれないからこそ育っていく。

お金が無くても、生活が苦しくても、

大好きな絵を毎日描き続けられたらどんなに幸せだろうか。

芸術を極めたいと思う自分。


いつしかそれは、相反するものとなり、

そして悩んでいる間に、二者択一のものであると、

自分で決めてしまっていたのかもしれない。







この会社とも、あと8日でお別れだ。

残ればやれることはまだまだあるが、

2年でここまでやったなら、まぁ良しとしたい。



将来の自分のために、

自分の夢のために、

僕は転職することを決意した。


今から2ヶ月くらい前の話だ。