TATTOOS & TEQUILA

TATTOOS & TEQUILA / VINCE NEIL

1. Tattoos & Tequila

2. He's a Whore (Cheap Trick : 1977)

3. AC/DC (Sweet : 1975)

4. Nobody's Fault (Aerosmith : 1976)

5. Another Bad Day

6. No Feelings (Sex Pistols : 1977)

7. Long Cool Woman (The Hollies : 1972)

8. Another Piece of Meat (Scorpions : 1979)

9. Who'll Stop The Rain (CCR : 1970)

10. Viva Las Vegas (Elvis Presly : 1964)

11. Bitch Is Back (Elton John : 1974)

12. Beer Drinkers and Hell Raisers (Japan Only)  (ZZ Top : 1973)




1年以上もかかる長いツアー。

その後これまた長い長いオフ。

いつの間にやら長期にわたるレコーディング。

電撃的な新作リリース、

そしてまた、長いツアー。



海外アーティストの全てがこのサイクルだとは思わないが、

少なくともモトリー・クルーの生活はこんな感じで成り立っている。

だから彼らのアルバムが毎年リリースされることはあり得ないし、

最近の彼らはオフも個々に音楽活動を続けていることが多い。



思えばかれこれ20年近くも彼らを熱狂的に応援してきた僕だが、

自分も成長したからか、

狂った追っかけのように彼らの一挙手一投足に左右されることはなくなった。




「攻め」の姿勢を貫いた新作「Saints of Los Angeles」から早くも2年。

世界中を巡った彼らは、それぞれのオフを過ごしているはずだが、

そんな折の、ヴォーカル・VINCE NEILのソロ・アルバムのリリース。





一時期はバンドをクビになってソロ活動一本だった彼であるが、

彼抜きにやはりモトリー・クルーは語れない。


たいした練習もしなければボイス・トレーニングも嫌い。

酒やタバコを我慢することもしないから、いつの間にか丸々と太った「オヤジ」だ。


それでもステージに立った彼には圧倒的なオーラがある。

右へ左へ駆け巡り、聴衆を煽り、莫大なエネルギーを発生させる彼の力。

バンドのフロントマンとしての全てを高いレベルで持ち合わせている人間。






ボーナス・トラックを含めて全12曲のうち、

「Vince Neil」名義の新曲は「Tattos & Tequila」「Another Bad Day」の2曲のみ。

残りは彼らしい選曲によるカヴァーソングだ。


オリジナル・ソングを超えるカヴァー・ソングなど稀有な存在で、

そればかりを集められても聴くに堪えないこともよくある話。

だがモトリー・クルーの歴史を辿ってみても、

バンドやヴィンス個人が実に上手にカヴァー・ソングを利用してきたことがわかる。

1983年の「Shout at the Devil」には「Helter Skelter」が、

1985年の「Theatre of Pain」には「Smokin' in the Boy's Room」があったし、

1987年の「Girls, Girls, Girls」ではプレスリーを、

初のベストアルバムではセックス・ピストルズを、

その後も幾多のカヴァー曲で「モトリー・サウンド」を聴かせてくれる。




このアルバムも違和感無しに聴くことができる。しかもカッコいい。

運転中に爽快なロック・ナンバーが多いのもまた彼らしい。

まるでカリフォルニアの陽射しのように、

難しいコトは抜き、とにかく底抜けに気持ちよければそれでOK、そんなノリだ。




恥ずかしながら原曲を知らないものもあったが、

批評家いわく「さすがVince Neil」な歌いこなしらしい。

さすがは我らが大将、やる時はやってくれる。





カジノ、タトゥーショップ、ストリップ・クラブ、ワイナリー、

最近ではテキーラまで自分ブランドで販売して、

驚くことにどれも儲かっているという商才豊かなVINCE NEIL。


今回のアルバムとリンクした自伝「Tattoos & Tequila」はこの秋発売される。



たまには歌に本腰入れて、独特の声をライブで響かせて欲しいものだ。

やればできるんだから。笑