空

圧倒的な力を持って、まるでレーザー光線のように降り注ぐ光。

まるでグラフィック作品のような、不自然なまでの風景のコントラスト。




梅雨が明けた。

前半戦と後半戦のように、

梅雨とその後の夏とがくっきりと分かれているようだった。








転職した動機の一つに、1日中ビルの中に居たくない、という幼稚な願望があった。

温度や湿度が完全にコントロールされた巨大なビルの中では、

自分の中の何かが失われてしまうような気がしていた。



今、そんなに自然を満喫できているわけではないし、

アスファルトに覆われた都会の、その異常なまでの熱気はむしろ自然ではない。

けれども時折り見上げる四角い空に、

時折り吹く風に、そして夏の陽射しに、

僕はなんとなく嬉しくなる。







夏が好きだ。

心が躍る。


何度、花火職人になりたいと思ったことだろう。

何度、朝顔を育て、そして枯らしたことだろう。

どれほどのカブトムシを捕まえたことだろう。






仕事だ、とか、あぁ忙しい、と思っていると、

日々はいとも簡単に過ぎ去っていく。

過ぎ去ったものに意識を捉われると、

これからやってくるものも逃してしまう。



重たいカバンを抱えて支社を飛び出した時、

全てを終えて家に帰る時、

一瞬でも空を見上げると気分が良くなる。

一瞬のリセットが、自分のスタンスを守ってくれている気がする。








支社に用事があった。

ビューエルを引っ張り出して向かった。

片道20km、時間にして30分。

夏の空冷エンジンは止まると地獄の熱さだが、気分転換にはなったと思う。

低回転のバラついた排気音と、胸高まる中域の吹け上がり。

いつ乗っても幸せにしてくれるバイクだ。





涼しい風が通り抜ける石神井公園では、

いつもより広い空が柔らかく染まっていた。










体力的に、かなり厳しいシーズン。

前向きに前向きに、そして一歩一歩頑張ろうと思う。





皆様、よい夏休みを。

夏休みがある人はね。笑