1208

 日々、世間が、そして世界が変貌してゆく。

 1208。



日米の軍事演習が行われている日本海沖の海域に、

ロシア軍の偵察機が現れた。

日本側は航空自衛隊のF-15戦闘機をスクランブル発進させたが、

偵察機は北の空へ消えた。



記憶に新しい、北朝鮮による韓国領土砲撃。

突飛な行動に世間も慣れてきているように感じること自体が恐ろしいが、

北朝鮮と韓国は休戦協定を結んでいるだけ。未だに戦時中なのは周知の通りだ。


北朝鮮への威嚇、もしくは彼らの暴挙への抑止力としての軍事演習。

10万トンの排水量を誇る海の要塞が極東アジアに睨みを利かせた。





同じ民族同士が大砲を向け合う南北。

共産主義の崩壊、難民の流出、様々な事情から北を擁護する中国とロシア。

自由と民主主義という大義名分のもと、独自の世界地図を思い描くアメリカ。



日本は。

世界の国々が自国の事情を最優先させてしまうのは、残念だが世界の常識。

日本は何を思い、どうしようとしているのか。

世界の首脳も悩むだろうが、大半の日本国民だって、そろそろ我慢の限界だろう。



若者の政治離れ、と声高に叫ばれるが、

若者と政治を遠ざけた責任は大人にあるだろう。

僕はそう思う。










1208。



金星軌道への到達は失敗に終わったらしい。

先日の「はやぶさ」からのちょっとした天文ブーム。


成功の可能性があったのにも関わらず失敗したミッションだとしたら残念だし、

250億円と報じられる関連費用はもったいないの一言。

しかし、遥か彼方の金星軌道で地球からの指示に合わせて動こうとする探査機。

そんな遠隔操作がされているということ自体が僕を感動させるには十分だったし、

不可能を可能にする過程で、失敗というのは絶対に必要なプロセスである。



そんなJAXAの宇宙開発事業も仕分けの対象だと聞く。

田舎のスーパー農道は必要で、

高速の通行量は格安にする意義はあるものの、

宇宙への挑戦は金をかけるに値しないということ？



6年後と7年後、「あかつき」は金星軌道到達への再チャンスを迎えるのだとか。

成功を祈りたいと思う。

夢のある話だから。












1208。



1941年12月08日。

太平洋戦争の開始を告げるパールハーバーへの魚雷攻撃。

それが正義か悪かの分別はそこにはなく、

ただ先陣を切ることが本懐であったと、90歳を過ぎた元日本軍航空兵の老人が語っていた。



真珠湾攻撃が本当に奇襲であったのか定かではない。

景気浮揚と世論操作のために、

アメリカ政府は攻撃を事前に捕捉しておきながら対策を講じなかったとの説もある。


真珠湾攻撃。

沖縄本土決戦。東京大空襲。そして、原爆の投下。

殺し合い。

300万人以上の日本人が亡くなったと聞く。


彼らの死は無駄になっていないだろうか？

母の名を叫びながら特攻した少年の思いを、

原爆症からの生還を祈りながら折り鶴を折り続けた少女の思いを、

僕らは無駄にしていないだろうか？










1208。



1980年12月08日。

世界一有名なロックミュージシャンであるジョン・レノンが凶弾に倒れた、彼の命日。



今でも名前を知らない人はいないであろう彼やビートルズの大ブレイク。

僕が物心ついた時彼は既に故人となっていたが、

生で彼らのライブを見たら、それは興奮したのだろう。



大学生の頃、友人と組んでいたバンドで初期のビートルズをコピーした。

その時彼らのアルバムを全て聞いたが、

ハードでヘヴィなロック・ナンバーから柔らかくて不思議なフュージョンまで、

今世界中で流れている音楽の全ての源泉が、

当時ビートルズによって既にプレイされていたのだと感じた。





ジョン・レノンが今日のこの世界に現れたら、

何を思うだろう。

30年前と比べて、世界はどう変わりましたか？

「IMAGINE」の世界に、少しくらい近づきましたか？